ここ最近、ひっそりと話題になっているのが夜、梅田の空に現れる怪光線である。それは、先月の頭頃から見られるようになった緑色のレーザーで、夜空に向って照射されている。
それが、どこから照射されているのか、誰が何のためにやっているのか、まったく分からない。ネットでは宇宙人を呼んでいる、という説も浮上していた。
そんなある日、ラジオを聴いていたら、番組のDJも、そのレーザー光線のことが気になっていたようで、照射源を突き止めるべく、高いビルに上がった、という話をしていた。どうやらレーザーは梅田の駐車場の、地上部分に設置された吸気口の近くから放たれているという。と、場所は突き止められたものの、なぜそんなところからレーザーが出ているのか、なぜそれが何もないところに向って放たれているのかということは、相変わらずわからないままだった。
こういうとき、真実を知りたい、とは思う。同時に、知りたくない、そっとしておきたい、とも思う。
確かに、真実を解き明かすためのプロセスは楽しい。が、多くの場合、明らかになった真実は、「なあんだ」というようなものであることも多い。だったら、分からないままに、想像だけを膨らませているほうが楽しい。たとえば、ハワード・ヒューズみたいな大金持ちがいて、若い頃、宇宙から受け取った(と彼が思いこんでいる)メッセージに返信するべく、大金をつかんだ今、その私財を突っ込んでレーザーを設置、照射している。彼は大阪で大金を儲けることに成功したが、心に空虚なものを抱えていて、夜な夜な、レーザーが消えていく夜空を眺めているのだ。またメッセージが届かないかと思いながら。というようなことを考えていたある日、ニュースで、まさにその話題を取り上げていた。どうやらあれは、御堂筋イルミネーションの演出のひとつであるらしい。1970年万博をイメージして、これからなんばのほうでも同様の催しをするか乞うご期待、ということであった。
なあんだ。