『回る回る運命の輪回る2――ビター・スイート・ビター』 ネタバレ気味のあらすじ

季節はバレンタイン。相変わらず運命の特異点である〈イレギュラ〉としてノアに監視される日々を送る野島浩平。この時期には、「浩平にチョコの作り方を教えてもらうことができれば告白に成功する」という都市伝説が生まれ、同級生の女子生徒に追い回されている。

そんなとき、浩平は同級生の悠木佐奈に体育館の裏に呼び出される。不機嫌そうな悠木さんの雰囲気に怯える浩平。そんな浩平に、悠木さんは「バレンタインにチョコをプレゼントしたいので、浩平の幼馴染みを紹介してほしい」と告げる。

きっと幼馴染みの岩田くんのことだと思いながら帰宅した浩平を待っていたのは、ノアの友達だというココ。ノアと同じくソサエティの一員で、現在はすべての運命の行き先を見通すことができる『運命読み』になるための試験休暇中だという。

ココと握手をした瞬間、奇妙なビジョンを目にする浩平。そして時を同じくして、浩平の周囲に不審な黒いスーツの男が現れる。

警戒する浩平だったが、黒スーツの男は五十嵐と名乗り、ある人物を探してこの町までやって来たと説明する。そのある人物とはココだった。実はココは運命読みになるための試験から逃げ出し、ノアを訪ねたのだった。

再び、試験に挑戦するように言う五十嵐だったが、ココは耳を貸さない。

一方、悠木さんにチョコの作り方を教える浩平。ぶっきらぼうな上に、派手な髪色のために誤解されやすいが、実は真面目で丁寧な悠木さんはめきめき腕を上げる。

しかし、「相手に気持ち悪がられたら嫌だから」と、チョコを手渡すのはやめると言い出す。「自分の幼馴染みは、そんなことを言うやつじゃない」と浩平は悠木さんを説得。

そしてバレンタイン当日。浩平、岩田くん、ちはる、悠木さん、そしてノアとココの六人は公園にピクニックに出かける。勇気を振り絞って、チョコを手渡す悠木さん。しかしその相手は、岩田くんではなくちはるだった。驚きのあまり何も言えなかったちはるに背中を向けて、悠木さんはその場から走り去る。

自分が勘違いをしたばかりに悠木さんを傷つける結果になってしまったのではないかと落ち込む浩平。さらに、自宅の前でココが何者かに襲われる。無事だったものの、言葉の行き違いから、大喧嘩になってしまうココと五十嵐。ココは部屋に閉じこもってしまい、落ち込む五十嵐は、浩平にココの過去を語る。

母親を亡くし、心に傷を負ったココは、自分のような不幸な子供を作るまいと『運命読み』に志願、ココの成長を見守ってきた五十嵐は『運命読み』を支える存在になろうとしていたが、その自分の存在が重荷になったのではと語る。

数日後、浩平たちは五十嵐が何者かに襲撃されたという知らせを受ける。乗っていた車は海中から見つかり、五十嵐は行方不明。車の状態から五十嵐は死んだものと考えられた。

どうやら五十嵐を襲ったのは、〈ソサエティ〉と敵対する組織らしい。さらに、浩平たちは『運命読み』になるためにはすべての記憶を抹消されること、運命読みは短命であること、運命読みの候補になっただけでも元の生活には戻れず、「ハウス」という場所で残りの人生を過ごさなければならないことなど、ソサエティの暗い一面を教えられる。

三月になり、偶然悠木さんと顔を合わせた浩平は、ふらふらと彷徨うココを見つける。五十嵐を失い、自暴自棄になるココ。さらにそこに現れた謎の集団によって、浩平、ココ、悠木さんの三人は誘拐されてしまう。

閉じ込められた部屋で、自分はもうどうなってもいい、自分のせいで母親も、五十嵐も死んだというココに、悠木さんは激怒する。五十嵐が死んだのは、ココを守ろうとしたからだ、と。どうなってもいいというのは、その気持ちを踏みにじることだと言う悠木さん。

その言葉に、自分が愛されていた記憶を思い出すココ。同時に救出にやって来たのは、ノアと五十嵐だった。五十嵐は敵の正体をあぶりだすため、死を偽装していた。
ココをかばって敵の銃弾を受ける五十嵐。その瞬間、ココの運命読みとしての能力が開花する。

後日。浩平とノアは銃撃によって片腕を失った五十嵐を見舞う。五十嵐は、この先もココに寄り添い続けることを、ココは運命読みを目指すことを決意する。

別れ際、ココはノアに「これがノアちゃんと会う最後だね、最後に会ったのがいつか、ちゃんと分かって、私たちは幸せだね」と語る。
 
・この物語に登場するお菓子

〈ブルーベリーのタルト〉……本文中には明記されていないが、ノアがワンホールすべて食べたものと思われる。

〈バニラアイスとイチゴのコンポートを添えたパンケーキ〉……ノアちゃんはこれにチョコレートソースとメイプルシロップをかけて食べていた。さすがに甘すぎると思う。

〈二種類のチョコクッキー〉……浩平が悠木さんに教えたお菓子。

〈フォンダン・ショコラ〉……浩平がノアに、バレンタインに作ると約束しながら、色々あって忘れていたお菓子。フランス育ちのノアは「フォンダン・オ・ショコラ」と正式な名称で呼ぶ。

                                つづく

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