どちらかといえば、食べ物についての好き嫌いは少ないほうだ、と思っている。アレルギーで食べられないもの(さくらんぼ、メロンの類)とか、過去に大当たりしたもの(牡蠣、エビ)は避けているが、それとて「嫌い」という感じではない。むしろ好き。食べないけど。とはいえ、苦手なものというのはいくつかあって、そのひとつが、大阪在住のひととしてあまり大きな声ではいえないが、「たこ焼き」である。嫌いではない。ひとつふたつ、人からおすそ分けをもらったりするのはとてもうれしい。が、逆にいえば、ひとつかふたつだからこそ、うれしい。一船どうぞ、と言われると、ちょっと多い。何度も言うが、嫌いではない。が、もし知らない間に世界からたこ焼きが消えても、少しの寂しさは覚えるだろうけれど、詠嘆に咽ぶことはないだろう。次の日からは、たこ焼きのことなど忘れてほがらかに生きていける自信がある。レバ刺しなんて、未だに寂しいのに。
なぜ、そんなにもたこ焼きに対して冷淡なのか、あるいは情熱的ではないのかといえば、それはやはり、「栄養価の低さ」が原因ではないかと思う。粉に油、炭水化物と脂質。以上。「いや、タコがいるではないか」というかもしれないが、確かにタコは栄養豊富ではあるだろうが、しかしあの量では入っていないこともあるし。
もちろん、体にいいものが素晴らしいとか、栄養があるものが大好きというわけではなく、ジャンクフードも大好きだ。大好きだが、とはいえ、粉と油。あと、書いていて気付いたけれど、食感が均一なのも苦手。
などということをぼんやり考えていて、同じように、世間では人気があるけれど、個人的にはあんまり好きじゃないなあ、という食べ物があることに気付いた。
カニクリームコロッケである。そして考えてみれば、カニとタコ、あるいは出汁とクリームという違いはあるが、内実ほぼ同じ。粉と油。本質双子といってもいい。海外で、自分にそっくりな人とばったり出くわしたような感じとでも言うべきか。苦手。
実は好き嫌い、多いかもしれない。