7月某日 賞味期限

賞味期限を過ぎたものでも食べられる、ということを知ったのはいつの頃だったか。それを知らなかった頃、というか、若い頃は賞味期限と消費期限の区別もついておらず、「とにかくこの、書いてある日付けを過ぎたものを食べたら具合が悪くなる」と思い込んでいた。

そのため、ずいぶんたくさんの食べ物を無駄にしてしまったような気がする。無駄にするのが嫌なために、十二時を過ぎる前に無理して食べたりもしていた。こつん、と秒針が十二時を回ったらすぐに食えなくなるわけでもあるまいに。誠に愚かな若者である。
 

愚かさ、若さでいうと、蛮勇的なこともあり、それが発揮されるのは納豆の賞味期限に対してであった。具体的には二週間ぐらい過ぎたものでも平気で食べていた。「もともと、腐っているから大丈夫」などと言って。本当に何を言ってるんだ、お前は。失礼千万である。

あと、梅干。どこぞのお屋敷というか、旧家には百年物の梅干というものがある、という話を聞いてからは、「梅干は腐らない」という刷り込みが入って、もはや消費期限も賞味期限も気にすることがなかった。干からびて、小石のようになった梅干も食べてたことがある。当然ながら、ちっとも美味しくなかった。我がことながらずいぶん雑な話である。

今ではそんな妙な繊細さや雑さを発揮することもなく、だから生きやすくはなったものの、折に触れて、「ああ、もう若くはないんだなあ」と思う。
さて、ところで今、目の前に賞味期限を一週間過ぎた豆腐がある。どうしようか。


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