テレビを点けたら、陸上競技をやっていた。女子の槍投げだった。誰でも知っているように、「どこまで槍を投げられるか」というシンプルな競技を見ていて、ふと思った。この、槍を投げている女性たちは、一体どのような形とタイミングで、槍投げと出会ったのだろうか。
「子供の頃に、たまたまその辺にあった槍を投げてみたら、すごく飛んだのでこの道に」という人も、いなくはないが少数派だろう。
「かつて両親ともに槍投げ選手だったという槍投げ一家に生まれたので」というケースもあるかもしれないが、これもやはり、少数派だと思う。一番多いのは、「足が速かったので中学で陸上部に入ったのだが、顧問の先生に投擲を勧められてやってみたら性に合った」というケースか。
しかし、だとしてもである。そのほかの投擲の種目、ハンマー、砲丸、円盤、ではなく、「なぜ槍だったのか」という疑問は残る。投擲を勧められた女子中学生の立場からすれば、「砲丸」よりは「槍」を選びがちな気はするが、本当のところはどうなのだろう。あとは、「細長いものを遠くまで投げたい」という根源的な欲求は、「重いものを遠くまで投げたい」よりは強いような気もする。
こんな人もいるだろうか。
「テレビを点けたら槍投げをやっていて、見た瞬間にこれが私が一生かけてやりたいことだと思った」「親友がやっていて自分もやりたくなった」「祖父の遺言で」「憧れの人が槍投げ選手で近づきたくて」
この人たちは人それぞれの出会いを経て、日々の研鑽を怠らず、こうやってテレビ中継されるような大舞台で活躍しているのだ、と思うと、なんだか感慨深かった。